回想編 2章


「それじゃ、これ全部下さい」

そう店員に告げた俺はある商品をコンビニにあるだけ買い占めていました。
その日発売したばかりのくじ引きを全て買い占めれば当たりクジも確実に手に入るだろうという究極の大人買い。
店頭に並んでいた全ての商品ともなると、コンビニの袋で大量の数。
一緒に来ていた彼女にも荷物を持つのを手伝ってもらうしかないこの数量。
流石に歩いて持って帰る気にはなれず、タクシーを拾う為コンビニの前の灰皿の前でタクシーが通るのを待っている時、
見知らぬ誰かに声をかけられました。

「B賞とかダブってたら譲ってもらえませんか?」

ふと目をやるとやたら高身長に坊主な青年が隣でタバコを吸っています。
どうやら彼もこのクジが目当てだったらしい。

「ごめん、俺の分しか無いんだ。」

全く知らない誰かに自分の戦利品を分け与える優しさを持たなかった俺は少し距離を置くように言い放ったものの、
俺も彼もどうやらタバコに火をつけたばかり。

そこで奇妙な二人の雑談が始まったのです。

「俺アニメは見ないんだけど、クジとか限定ってのに弱いんだよね」

「それでそんな大量に買ってたんですか」

「最近コンビニとかでよくこのクジやってるでしょ。前もルパン三世を揃えたよ」

「自分も今回気合入れて買おうと思ってたんですけど、マジックに使いすぎちゃって」

「マジック?」

久しぶりに、数年ぶりにマジックと言われてもその時すぐにピンと来ませんでした。

「マジック:ザ ギャザリングってカードゲームやってるんですよ」

─ あ、懐かしい

「俺も、昔やってたな…ギャザ」

自分の口からギャザと発するのは更に久しぶり。
そして、ふと思い返せば今自分が居てるこの場所は日本橋のコンビニの前。

数年前毎週通ってたこの場所は彼と話すまでカードゲームショップが集まる街ではなく、
ただの街としか認識していなかった事に気付かされます。

「そっかそういえば日本橋だったね。ここ。」

「日本橋だから買いに来てたわけなんじゃ?」

「いや、家から近いんだここ。」

そんなやり取りをしつつ、打ち解けてきた所でタクシーがやってくるのが見えてきました。
この後予定もあった為、側で相槌だけうっていた彼女にタクシーを止めるように伝えた後、
彼に名刺を、「気軽にメールどうぞ、こっちに引っ越してきてから趣味の知り合い居ないから」と告げながら渡します。

もちろん名刺を渡して実際にメールが来ることなんて期待していません。
初めて会った人には名刺を渡すというクセが、
大人になり植えつけられていただけの動作なだけで。

そうしてタクシーに乗り込み、寝て起きた頃にはにはもう昨夜の出来事は忘れていました。





新着メールが1件


昨晩の坊主頭です
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こんにちは!
タイトル通り、昨晩コンビニ前で
お話させてもらった坊主です。





彼を家に招待し共に遊ぶようになるまで時間はさほど必要としませんでした。





ギャザ速
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コメント

ひらこう@町田勢兼横浜勢
2012年4月20日15:21

>>ひみつ
確かに最近はマジックと呼ぶ人が多いですね。自分はメルマス期ぐらいから始めたのですが、当時は兄貴とその友達たちとプレイしていて、みんな「ギャザ」派だった気がします。
今でも自分はギャザ派なので、新しく始める人たちにも「ギャザ」としてMTGを教えてますねw。

ラッチ
2012年4月20日23:37

当時のMagic雑誌も「ゲームぎゃざ」でしたしねぇ。。。
でも自分の周りはマジックと呼んでたな。
なぜだかそれが一番しっくり来てました。

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