「いや、こっちの方が回転良いし、カウンターが何より良い!」

「そっちの対抗とかすり抜けて盤面揃ったら俺の方が有利だし!」


口論の始まりは些細な会話から。
自分のデッキの方が相手のデッキよりも優れてると
お互い曲げられない主張を引くにも引けない状況となり少々喧嘩となっていたのでした。

パーミッションの方が強い

ビートダウンの方が強い

M:tGでは人によって好きなデッキタイプがあると思います。
環境のカードによって確かにどちらかが有利という事もあるかもしれませんが、
まだまだM:tGを覚えたての当時の俺たちにとっては
最初に自分が惹かれたデッキタイプこそ何よりも強いタイプと思い込んでいました。

「そこまで言うんだったら勝負したらいいじゃない」

その口論を聞いていた仲間が言い争っていた俺ともう一人に提案をしますが、
まだまだ子供だった俺達は

「俺が勝つに決まってるし時間の無駄だ」

「いや、俺が勝つけどお前とはやる気せん」

そんな、本当にくだらない意地の張り合いから始まりその後しばらく疎遠となってしまいます。

パーミッションを主張していた彼とはそれまで一緒に遊ぶことは多かったのですが、
まさかこんな事でつるむ機会を失うとは思ってもいなかった為凄く後悔。
かと言って自分から「ごめんね」と言う勇気を持つことができませんでした。
それでも元の関係に戻したいと思っていた俺は、久々に彼にメールを打つことにしたのです。

その内容は、「明日ギャザしないか?」の一言。
メールの返信が無い覚悟はもちろんしていましたが、
以外にもすぐに「わかった」と一言だけの新着メールが届きました。


そして次の日、いつものショップのデュエルスペースにて約一ヶ月ぶりの対戦となりました。
自分から「ごめん」その一言が言えなかった俺は、
その言葉をデッキに語ってもらう事にしたのです。

先行は俺はから。
普段の俺は黒単もしくは白単でクリーチャーを並べ殴る事が最高と言っていました。
そんな俺がどうやって謝るか。


「セットランド 島 エンド」

「…」


決して今まで俺が使うことのなかったパーミッションと言えば浮かぶこのカード。
島が一枚だけ出ている場に相手は少し困惑した様子。

そして相手のターン

「セットランド 沼 蛆たかり出してエンド」

それは俺が普段愛用していたゾンビデッキのゾンビクリーチャー。
お互いこの場でもまだ素直になれず何も語らず、
慣れないパーミッションと慣れないビートダウンを使い続けます。

「クリーチャー並べるのも結構面白いな。」

そう呟く彼。

「カウンター構えて待つのも結構楽しいな。」

返事か独り言かわからない返し方で答える俺。

そうしてプレイも終わり二人共一ヶ月前の事を謝らないけど
お互いの主張を認め合う、そんな和解でした。


そんな二人の帰路につきながらの会話は、

「なんであの時、口論の場で勝負しなかった?」

「負けるかもって思った。速攻で来られると強いじゃんビートダウン」

「俺も負けるかと思ってた。カンスペも洗い流しも怖いし。」

「そうか。」

「次は多色組んでみる。」

「じゃ、俺赤単」



ギャザ速
http://mtg-news.net/

コメント

kakeru@感染大好き!
2012年4月23日16:39

ええ話や:V:b
拳…もといカードで語り合える友人ってすごい。

ツボ@T.S.R
2012年4月23日17:02

凄く良い話しですね。
失礼ですがリンクさせていただきました。

これからも楽しい話し期待させていただきます。

kiriake
2012年4月24日10:47

これなんていうドラマ?

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